宝石をもっと楽しむWebマガジン 福岡宝石市場 Plus

Vol.3
ダイヤモンドの大きさと
品質について

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時折「ダイヤモンドは大きさと品質のどちらが重要ですか?」と聞かれます。

これはとても難しい質問です。

「大きくて、品質が良いもの」が一番だと思いますが、大きくなればなるほど、品質が良くなればなるほど、価格も高くなるため予算と照らし合わせどちらを重視するかを選択する必要があります。

今回は両方を比較して考えてみたいと思います。

人生の中で1粒石のダイヤモンドを初めて購入するのはエンゲージリング(婚約指輪)という方が多いと思います。

一般的に現在の日本国内のエンゲージリングに求められるグレードは以下のような傾向にあります。

カラー
D〜F
クラリティ
IF〜VSクラス
カット
3EXCELLENT、EXCELLENTのH&C、EXCELLENT

ウェディングドレスは白ですがそこには「純潔」「あなたの色に染まります」という意味が込められています。
そこに順ずるエンゲージリングですからカラーは無色の白、無キズのダイヤモンドが好まれる理由があるかと思います。

仮に予算を30万円とした場合、一般的なエンゲージリング販売店においてこの条件を満たすダイヤモンドは、0.2〜0.3ct前後になります。

日本人の特性として「小さくても最高品質を好む」という傾向にあります。また「控えめで美しい」という奥ゆかしさもあるのでしょうか。

一方で、年齢を重ねて行くと指が太くなる傾向があり、50歳くらいになった時に「小さなダイヤモンドが太い指に輝くのはちょっと恥ずかしい」といった話も聞きます。

そして、指の太い細いは関係なく「若いときに買った小さなダイヤモンドは恥ずかしくて出来ない」と言われたこともあります。

一般的な結婚適齢期は20〜30代でしょうから、エンゲージリングを購入する楽しいときに30年後の自分を想定して購入する方自体いらっしゃらないですよね。

ではどれくらいの大きさがあれば大きいと思われるのか?

こちらも個人差はありますが、1つの基準として0.5c以上がおすすめです。

0.5ctの直径は約5mm。枠にセットした場合を想定するとしっかりと大きなダイヤモンドとして認識できるかと思います。

ただし、ダイヤモンドが大きくなるとキズが多ければ目立つ、つまりクラリティグレードが低ければ肉眼でも分かってしまうということです。

肉眼で識別できるクラリティは内包されているインクルージョンの種類や状態にもよりますが「SI2以下」です。

SI1になるとSI2よりも内包物が少ないので肉眼で確認することはほぼ難しいため、クラリティはSI1クラス以上がおすすめです。

カラーについて、ある条件下で見た場合に無色ではないと認識できるカラーグレードは個人差はありますが、Hカラークラス以下かと思います。

またプラチナの枠にセットしてしまうと枠の反射でカラーはハッキリと識別しづらくなります。

実際、枠にセットされたFカラーと、Gカラーのダイヤモンドをフェイスアップ(正面)から比較した場合、その色の差を判断するのは熟練のプロでも簡単ではありません。

以上の理由から、カラーはGカラー以上がおすすめです。

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そして最後のカットグレードについてですが、こちらはEXCELLNTクラスがおすすめです。

ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すのはEXCELLNTです。
GOODと比較すると格段に違います。
また、形状の対象性は日本人の琴線に触れる部分ですので、できればカットはEXCELLNTを選んでいただきたいと思います。

つまり、私がおすすめするエンゲージリングに求めるダイヤモンドのグレードは以下の通りです。

カラー
Gクラス以上
クラリティ
SI1クラス以上
カット
EXCELLENT以上

このように少しグレードを下げれば同じ30万円の予算でも0.5ctのエンゲージリングが購入できる可能性もでてきます。

極端な話、クラリティをI1クラスにすることで1ct以上のダイヤモンドを購入することも不可能ではありません。(さすがにおすすめはできませんが・・・)

つまり最終的に「ダイヤモンドは大きさと品質のどちらが重要ですか?」の結論はご購入になる方が何を求めていらっしゃるか次第です。

「みんながそうしているから」「一般的にそうだから」「一番売れているから」という理由で、販売員さんに言われる通りに何となく0.2〜0.3ctのトップグレードのダイヤモンドを選んでしまい、結局タンスの中に眠ってしまうことのないようにしっかりと自分たちの考えをもってダイヤモンドの購入に向き合ってもらえたらと思います。

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